ご挨拶 Greetings
JHPC-quantum
量子・スパコン連携で計算プラットフォームを開発
新領域の計算を可能に
ポスト5G時代のサービスを追求
JHPC-quantumプロジェクトは、これから数年のうちに実用化に向けて大きく発展する量子コンピュータをターゲットに量子コンピュータとスパコン(HPC)を連携させるためのシステムソフトウェアを開発し、これまでのコンピュータでは困難だった領域の計算を可能とする計算プラットフォームを構築します。これを運用し、量子・HPC連携アプリケーションを開発し、その有効性について実証することを目標としています。さらに、この計算プラットフォームで実行される量子・HPC連携ソフトウェアをポスト5G時代のネットワークで提供されるサービスとして展開するための技術を開発します。
量子コンピュータは、従来のコンピュータと全く異なる原理で動作し、特定の領域の問題に対しては情報処理速度の劇的な高速化が期待できることから、国内外の研究機関・企業で活発に研究されています。量子コンピュータは、従来のデジタル計算機、すなわち古典コンピュータの適切な制御の下に動作するもので、計算機システムとしては量子・古典ハイブリッドシステムとなります。
これから開拓される量子コンピュータの利用を考えると、量子コンピュータに期待されるアプリケーション領域の多くは、これまでスパコンでの計算能力を用いてサポートされてきたアプリケーション領域であり、スパコン側からは量子コンピュータとのシームレスな連携により、アプリケーションを大幅に加速する装置として期待されるものです。
また、現在のところ、量子計算機の規模は数十量子ビットに留まっており、古典側の計算機は小規模なサーバーに留まっていますが、これから百量子ビットを超えて大規模になるにつれて、量子回路の最適化、さらに現在のノイズあり中規模量子計算機であるNISQコンピュータのエラー緩和処理に多くの計算量が必要となります。量子・スパコン連携プラットフォームでは、スパコンの計算能力を活用することにより、これらの処理を加速することが期待されます。
本プロジェクトは、大学のスパコンセンターを代表する東京大学の情報基盤センターと、量子ソフトウェアの開発をけん引している大阪大学の量子情報・量子生命研究センターをパートナーとし、量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発と構築を推進していきます。さらに、量子HPC技術に関心のある企業とソフトバンクを中核として協力し、新しい量子HPC技術によるポスト5G時代のサービスを追求していきます。
国立研究開発法人理化学研究所
計算科学研究センター
量子HPC連携プラットフォーム部門
部門長 佐藤 三久