量子・HPC連携アプリケーションの実用化の推進

共に創る、量子・HPCでのビジネス革新

概要overview

本事業では、量子・スパコン連携プラットフォームを用いた実用アプリケーションの開発検討を進め、企業ユーザーの調査とトライアルの支援を行います。プラットフォームの試作段階から外部の企業ユーザーに利用してもらい、フィードバックを受けながら改良を重ね、将来の利用者となり得る企業や業界との協力関係を築きます。これにより、ユーザー企業によるユースケースの創出やアプリケーション開発を促進し、事業化のためのエコシステム構築を目指します。

事業内容detail

量子・スパコン連携プラットフォームの活用により、様々な分野でこれまでのコンピュータでは解決できなかった問題を解決することができる可能性が期待されています。例えば、新薬の開発においては、量子シミュレーションにより、複雑な分子の相互作用や副作用の予測をより正確かつ迅速に行うことができる可能性が注目されています。製造業においては、最適化計算により製造工程の最適化などの問題に取り組むことができると期待されています。また機械学習の分野では、従来の機械学習手法よりも複雑なパターン認識や予測を行うことが可能になると考えられています。

しかしながら、量子コンピュータの実用化技術はまだ研究段階にあり、具体的にビジネスにどのように貢献できるかは未確定です。そこで本事業項目では、有望視される「シミュレーション」「最適化」「機械学習」の各計算技術領域におけるユースケースと事業仮説を立て、事業期間中にこれを検証し進化させるアプローチを採用します。

最初に、量子多体計算の応用が可能な化学分野や材料分野で、パートナー企業と共にユースケースを探索します。その後、最適化問題、機械学習、金融分野に関するパートナー企業に対してプラットフォームをトライアル提供し、実ビジネスへの展開の可能性を調査します。

本事業項目の初期段階では、事業項目１〜９で開発中のプラットフォームのプロトタイプ環境を用いて、企業ユーザーとの初期トライアルによりユースケースの創出に取り組みます。これにより、ユーザーからのフィードバックを収集し、改良点を洗い出します。2024年度には、プラットフォームの機能拡張と改良を進め、新たなトライアルユーザーの募集と支援を行います。また、初期トライアルの結果を分析し、改善点を反映させます。
2025年度には、トライアル環境の安定化と最適化を進め、複数の企業との協力関係を構築します。ビジネスモデルの検討と仮説の検証を行い、2026年度には、実用化に向けた最終トライアルと調整を行います。パートナー企業との連携を強化し、成果をまとめて最終報告を行います。
2027年度には、トライアルユーザーからの最終フィードバックを収集し、市場投入に向けた準備と展開を進める計画です。これにより、持続可能なビジネスエコシステムの構築を目指します。

ソフトバンクは「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を長期ビジョンに掲げ、未来社会の実現に向けた課題に取り組んでいます。生成AIの普及により、人とAIが共存する社会が到来し、AIが自ら判断し、産業や社会を最適化する時代がやってくると予見されています。しかし、AIが日常的に使用される社会では膨大なデータが生成され、それを処理するための電力需要も増加します。ソフトバンクは、このような未来の課題に対応するため、次世代社会インフラの構築に力を入れています。次世代社会インフラの要として、「Core Brain」と名付けられた大規模なデータセンターを東京、関西、北海道、九州の4拠点に配置することを計画しています。このデータセンターは、高いデータ処理能力を持ち、将来的には量子コンピュータも稼働する予定です。これにより、未来社会の実現に伴う膨大なデータ処理需要に対応し、グリーンエネルギーを最大限活用して電力需要を賄う体制を構築することを目指しています。

事業項目(10)では、このような次世代社会インフラの先端的な利用を開拓する取り組みとして、量子コンピュータとスーパーコンピュータを連携させたプラットフォームを用い、企業ユーザーによる実用的なアプリケーションの開発を推進します。企業ユーザーと共に量子・HPC連携プラットフォームを創り上げることで、ビジネスを革新しうるサービスの創出を目指します。

スケジュールschedule

プロジェクトメンバーproject members

ソフトバンク株式会社

プロジェクトリーダー

桑原正光
小宮山陽夫
楠弘次
須藤渉一
山内啓嗣
宮下真行
佐々木敏博
瀬尾俊
青木俊紘
西村怜
池田亘希
中川敬太
山本泰久
中条忠寛
木南雅彦

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